「あら、お早い到着ね。くん」
「…オレ、今凄く機嫌が悪いから思い切り暴れるよ」

嘘をつくのは気持ち良いものじゃない

SPARKLING

ざっと300人と言った所だろうか、指定された場所に行けば黒服に身を包んだマフィアがうようよ居た。しかしこの程度の人数で全勢力なんて、聞いて呆れるな。オレが浅くため息をつくのを南波が目ざとく反応した。顔が真っ赤になっているところからバカにされたとでも思っているのだろうか。(いや実際バカにしてるけどね!ははっ!)彼女が勢い良く手を振り上げると黒服たちが一斉にオレに銃口を向け、発砲した

『全ての弾丸はオレに届かない、反れる。』

そう言うと見事に弾丸はオレには届かず足元のコンクリートへとめり込んだ。土煙が空中をを舞う、敵はまだ佇んだままのオレの影を見てピストルを捨てた(懸命な判断だ、娘と違ってファミリー達はキレ者ぞろいって所かな)各々の武器を取り出すとオレへと群がった

『地面にめり込んだ弾丸は持ち主の身体の中へ戻れ!』

今度は地面にめり込んでいた弾丸が敵へ向かって行き、被弾した。「なんなんだ!」一人が顔を真っ青にさせて叫ぶ、オレはそれに聞く耳を持つこともなく次の言葉を言った

『一キロ圏内にある酸素は全て消滅しろ』

そのまま少し顔を歪ませて敵に言った

「今この空間にはもう酸素は存在しない。オレもちろんオレも空気は吸えない」

「我慢大会だ」そう続けると一人が悲鳴を上げて逃げ出そうとする。オレはソレを追うことはせずに、ボケッと見ていると後ろから刀で切りつけられた。幸い浅かった傷に舌打ちをすると敵は脅えたように拳銃を取り出し発砲する『届かないって言ったろ』弾丸はオレに当たる前に勢いを無くし地面に転がった、それを間近で見ていたやつ等は一斉に尻込みしはじめた(なんだ、このファミリーは金での繋がりなんだな)やけに切れ者が多い理由が分かった。こいつらはマリナーラファミリーのボスに選ばれた戦いのプロだ、だから少しの誤算なら判断を見誤ることもない。ボスには金で雇われたに違いない、忠誠を誓っているのならば命を張ってでもファミリーのボスを守るものだ、苦しそうにもがいている南波と父親が「待て!」と叫んでいる
被弾した敵は体力の消耗も激しいが為に次々と窒息死していく、残ったのは南波達とオレの3人だけだった

『酸素は全て戻れ』

オレが合図すると息ができるようになる。南波が顔を真っ青にしながら叫んだ

「っこの、化け物!!」
「…君達の負けだボンゴレから手を引け」

そう言うとどこに隠し持っていたのか南波が銃を取り出し発砲…する前にオレが叫ぶ

『背中の傷口は彼女に治癒してもらう!』
「っきゃああああ」

南波が叫ぶと背中から血飛沫が舞った、父親が彼女を抱き寄せ涙ながらに懇願する「ボンゴレには手を出さない!…まさか本当にこんな…化け物を飼っているなんて、信じられない」そう言った父親にオレは笑った

「しってるんだ?オレのスペルマジック」
「風の噂だ…直接的に言葉で殺すことは出来なくても使い方によっては人に死をもたらす化け物が数年前からボンゴレに居ると、でもまさか本当に」
「これがマフィアが作り出した負の遺産と言ったところだ。そこまで分かってるなら、二度とオレの世界に手を出すな」

そう言ってその場を後にした。
家に帰ると電話をかける、雲雀恭弥とディスプレイに表示されたソレは何回かコールを繰り返しブツッと音が鳴る

『もしもし?めずらしいね。こんな時間に』
「おわった」
『ワオ!仕事が早いな…?』
「…」
?』

雲雀が珍しく穏やかな声を出して問いかけた『なにかあったの?』か細く返事をすると彼は『そう』と不機嫌そうに返事をした(おいおい、オレ落ち込んでるのになんだソレ!理不尽だ!)
ベットに身体を預け暫く黙ってると『何もないなら切るよ』と雲雀。

「やけに冷たいな、なんでそんな機嫌がわるいんだ?」
『君さあ、どうせ沢田綱吉関係でボロクソに言われたんだろ』

雲雀の言葉にドキリとする。否定できない、彼が化け物…つまりオレを飼っていると他人から言われるのは何よりも辛いのだ、まるで彼が化け物を飼い慣らす化け物と言われているようで。

『僕はをただ慰める道具じゃないし毎回、沢田沢田ってイラつくんだけど?』
「おっ、おい!だからってボスに当たるなよ!!」
『ほら、また沢田綱吉』

拗ねたように声を出す雲雀にまた言葉が詰まった、くそーっと唸っていると雲雀がクツクツと悪そうに笑った、嫌な予感。(しかも大抵そう言う予感って当たるから嫌なんだよな!ちくしょう、はずれろ!!)冷や汗をかきながらドキドキしていると笑い終わった雲雀が口を開いた

『沢田綱吉の依存を断ち切るまでは並盛に戻って来るの禁止』
「いやだ」
『嫌じゃない』
「いやだ」
『うるさい、黙れ。沢田のためを思って言ってるわけじゃないけど君の依存はいずれあの草食動物を破滅させるよ』

また反論できない。

『別に会うなって言ってるわけじゃない、それに沢田沢田って僕がおもしろくないからね』

雲雀の一言に顔が真っ赤になるのが分かった「うるせえ、バカ!!」そう言った後に少し笑みが漏れる、たまには雲雀の意見も尊重しようと思って俺は「分かったよ」と返事をした

『…じゃあ、』
「うん」
『おやすみ』
「うん」

通話を終了させると、オレの機嫌はすっかり直っていた。嘘じゃなくなった。
手塚にこれからよろしくと言われた事を思い出し、呟く

「不本意だけど、これからよろしく」