「!ちょっと買出し行って来な」
「やだ」
「私だって嫌だね」
ちくしょう、このババア…!!
SPARKLING
そんなんで先日から雲雀の理不尽により青学へ正式に編入してしまったかわいそうな男子ことは竜崎スミレと言うテニス部顧問より承った命令の元、絶賛買出し中だ(ああ!ボスならオレにこんな頼みごとしないのに!)オレの脳裏には「がやりたくないなら無理しなくて良いんだよ」と言ってくれるボスの顔が浮かんだ(しかしそんな事をボスに言われても引き受けちゃうんだけどさ!なんて言うか)
「言い方がなあ…」
「言い方がどうかしたんっすか?」
「!越前か!!気づかなかった!(マフィアとしてあるまじき失態!)」
どうやらオレ一人が買出しに行くのは骨が折れるだろうと言うことで竜崎先生が手伝ってくるようにと越前に出動命令を出したらしい。人事とは思えないそれに少し同情してしまった。ノコノコ歩いていると目的地の商店街に到着した。そこでオレは初めて買い物リストを見て越前をここに寄越した竜崎先生に思い切り感謝した「越前…」困ったような声で彼を呼ぶ、嫌な予感がしたのか越前は恐る恐るオレの顔を見上げた(ちなみに越前の身長よりオレの身長のほうが頭1つ分でかい)
「なんすか?」
「ガットって…何?」
「はあ!?あんたテニスに興味あるって言って入部したんじゃないの?」
「興味あるのと知識があるのとじゃ違うだろ」
大きくため息をついた越前はオレの後ろで歩くのを止め、オレの前へと出た。どうやらガットとやらが売られている所に案内してくれるらしい。
案内されたのはスポーツ用品店だった。そこから越前は何種類かのガットらしき何かを持ってレジへと向かったのでオレも財布から金を出すために彼の横に並んだ
「これがガット。」
「覚えた、ありがとう」
そう言って荷物を持つとドラックストアへと向かった(ドリンクの材料とかテーピング用品も買わないと。)「センパイって態度悪いけど何だかんだ言うことは聞きますよね」そう言って来た越前にオレは冷ややかな目を向けた(オレのことを無愛想だとか、そう思ってたわけだな!失礼な!)そんなオレに彼はもう一度ため息を吐く。それを見てオレは少し笑った、どんどん必要なものをカートに乗せ会計を済ませるとオレは越前に「寄り道する?」と聞くと分かってるじゃんと言いたげな表情で頷いた。
「オレ、ラーメン食いたい」
「いいっすね」
そう言いながら近くのラーメン屋のドアを開け…閉めた(まさか!って言うかなんで?)見覚えのある人物がラーメンを啜っていたのだ。越前が不思議そうな顔をして「先に入りますよ」と言いながら店の中に入った。俺も意を決して中に入ると、やっぱり居た。
「骸…なにしてんの?」
「ブハッ!!!な、なんで、くんがここに?」
「オレだってラーメンぐらい食うけど」
「なら僕もです」
そう言って再びラーメンを啜り始めたのは六道骸、雲雀とは同属嫌悪のごとく超絶仲が悪い。(ちなみにオレもそこまで好きではない)オレはそんな彼を横目に越前の向かいの席に腰を下ろした
「あの人、知り合いっすか?」
「ああ」
「ふうん、変なかみが…もがっ」
めんどくさいワードを言い出しそうになった越前の口を右手で塞ぎ左手で黙ってろとジャスチャーをしてみせると目を瞬きさせる形で越前は頷いた。(骸のあの自称誇り高い髪型をけなしてみろ!一般人であろうと間違いなくあいつは怒り狂うだろう、うわあ!想像しただけでめんどくさ!)ゆっくり右手を下ろしオレ達の後ろに座っている骸の様子を盗み見るとどうやら彼はこちらの話に耳を傾けている様子は微塵もなかったようでオレはホッと胸を撫で下ろした
「なんかめんどうですね」
「そうだ、めんどうだよ」
「ふうん、まあとりあえず食いましょう」
そう言ってオレ達はお互いに注文して骸同様ラーメンを頬張った。食べ終わった頃には骸はもう帰ってしまったらしく穏やかな気分でオレも店から後にし学校へと戻る(そして帰りが遅いと竜崎先生に怒られた、ちくしょう…)
コートに戻った俺は片付けてない仕事を一通り終わらせて帰る準備をした
「おつかれ、」
「ああ、乾か。おつかれ、オレはもう帰るから何か不備があったら電話してくれ」
「電話って言われてもオレ達はみんなの電話番号を知らないからな」
「あ、そうか。じゃあ番号メモした紙ここに置いてから帰る」
そう言うと乾のメガネの奥が光った気がしたが、自分に害があるわけじゃなさそうだし気にしないことにした
家に帰って早速ボスに報告するために電話をかけた(ああ!ボスがオレが居なくて寂しいとか言ってきたらどうしよう!雲雀と戦ってでも並盛戻りたくなっちゃう!)
『もしもし、?』
「ボス…」
『学校終わったんだね、どう?そっちは楽しい?』
「ボスの生活を見届けられなくて少し不満はありますけど、充実してますよ」
そう言うとボスは電話口で柔らかく笑った
『それなら安心した、雲雀さんに並高戻ってくるなって言われて落ち込んでるままだったらどうしようって心配してたんだ』
「そんな!オレはボスが安心してくれるならよろこんでこの環境に順応しますよ」
フ、と。昔のボスの姿を思い出した。昔はあだ名がダメツナで運動オンチで勉強も下の下で性格も逃げ腰だった。取り柄と言ったら無償の優しさと超直感くらいだっただろうか…それが今は勉強や運動は昔のままでも(オレだって良くなったって言いたいけど世の中には美化できない一面もあるんだ!)性格は優しくてキレ者、飴と鞭を上手い具合に使い分ける人にまで成長した。彼がマフィアのボスになることによって性格などが多少なりとも変わってしまったのに対して寂しい思いなどないと言ったら嘘になるが、それでもオレの彼に対する忠誠心は揺らぐことはない
『はきっとボンゴレの人間以外でも気の置ける仲間が作れるよ、がんばれ』
「ボス…!!(なんて優しい言葉なんだ!おっと目頭から汗が吹き出てきた…!)」
『じゃあ、オレはちょっとリボーンからの頼まれ事を済ませないといけないから、またね』
「はい、おやすみなさいボス」
『おやすみ』
たった10分ほどの会話にオレは明日もがんばろうと思い布団に潜り込んだ
『』
「なに?」
『君、昨日沢田に連絡しといて僕には連絡しなかったでしょ』
後日雲雀になんとも理不尽な理由で説教くらったのは、また別の話。
「すんませえん…」
『それ謝ってるうちに入らないから』